安倍内閣が2016年から提唱している「働き方改革」。
一億総活躍社会の実現に向けて、国民全員が輝くために始められたはずのこの取り組みに、
いま、弊害が出ています。
なぜでしょうか。
問題点としてはどのようなことがあるのか、確認していきましょう。
- 働き方改革の柱とは何だったっけ?
- 働き方改革の問題と弊害
- 弊害が起こる理由
- 弊害への対策
Contents
働き方改革の柱となっているのは3点
長時間労働対応・雇用形態による待遇格差対応・柔軟な働き方への対応
- 長時間労働を是正する
- 雇用形態にかかわらない公正な待遇を確保する
- 柔軟な働き方がしやすい環境を整備する
つまり、残業を減らし、正社員以外にも福利厚生を充実させ、副業や在宅業務などを可能に
しよう、という提案です。
(参考)「>>厚生労働省 働き方改革の実現に向けて」
働き改革の問題点と弊害
企業が働き方改革への取り組みを推進する上で、企業が被っている弊害と、雇用されている
従業員が被っている弊害があります。
企業側の弊害
・管理職への負担が増える
・残業させると法で罰せられるおそれがある
働き方改革を各企業で実現させるためには、企業の根本的な体制部分から変えていかなけれ
ばならない場合があります。
そのための時間と労力は、企業の実質的な業務にプラスされることになるのです。
また、平成31年4月から残業時間の上限規制が法律化されるため、従業員に上限を超えた残
業をさせると、法律で罰せられます。
(参考)
「>>首相官邸 働き方改革の実行計画PDF資料(p13~15に残業上限の法規制について記載あり)」
従業員側の弊害
・実質的な業務は減らないため、サービス残業、持ち帰り残業が増える
・残業ができなくなり収入が減る
実質賃金下がってい
るに決まってる。大手企業は残業規制を強化し、労働時間が減り、残業代が減った。だから
残業しなくなった夫の手取りは年々下がってる。
仕事は待ってくれないが、残業もできない。
結果、サービス残業や持ち帰り残業が増えてしまうケースもあるようです。
残業代が削減されることで、単純に収入が減ってしまうことも問題となっています。
弊害が起こる理由
働き方改革の弊害は、どうして起こってしまうのでしょうか。
人員不足
仕事の絶対量が減らない中で、人員を増加しないまま短時間でタスクをこなそうとすると、
従業員ひとり当たりの仕事分量はどんどん増える一方です。
顧客からの予定外の要望にも応えるため
予定通り仕事を終わらせても、予定外に追加のタスクが流れ込んできて、残業を余儀なくさ
れることも。
「予定外の要望」が認められてしまう環境であることも問題です。
副業へのマイナスイメージ(社則で副業禁止)
従業員を管理できることが企業の力だとされてきた日本では、従業員の自主性を重んじる働
き方への理解が薄いといえるでしょう。
働き方改革に個人と
して適応する際に一番の弊害になるのが、私たちの奥底に刷り込まれている一意専心という
考え方だろうと思う。私たちは本物とは一つをやりきった人だと信じている。二つ選べば到
達点は50%になってしまうと考えている。
働き方改革で残業減
。求人倍率高水準。減った残業代を補おうとして、副業したくても、会社が禁止。結局、人
手不足。外国人労働者参入。なんかおかしくないか?
(参考)
「厚生労働省 平成28年版過労死等防止対策白書(p56、57の図表)」
「厚生労働省 働き方改革についてのリーフレット」
弊害への対策
すでに、働き方改革の弊害は浮き彫りに
ただ単に残業時間を削減するだけでは、従業員の負担が増加するだけで、抜本的な改革とはいえません。
残業時間を削減するためには、仕事の効率化が不可欠です。
AIや仕事効率化ツールをうまく活用しながら、従業員の仕事へのモチベーションを高め、生産性を向上させることが求められるでしょう。
減った残業代をボーナスに還元する、という取り組みの実施を始めた企業もあります。
「>>朝日新聞 浮いた残業代の賞与還元 アルプス電気が正式発表 2018年6月15日」
今後は同一賃金同一労働の実現に向けての取り組みも始まる
正社員・非正規社員ともに、同じ仕事には同じ対価が支払われるべきだという考え方で、この実現に向けては、社内の業務内容の区分の明確化と共有が必要となるでしょう。
現在でも、就業規則を厳しく定め、副業を禁止している企業も少なくありません。
従業員ひとりひとりの自主性を尊重し、柔軟な働き方を認める意識改革が求められます。
企業の体質を根本から見直し、労働環境を変えていく必要があるでしょう。