働き方

働き方改革の助成金による企業側のメリットとは?

多様で柔軟な働き方を選んでいける社会を目的としてすすめられている、「働き方改革」。働き方改革を実現するためにつくられた、雇用にかかわる助成金の仕組みがあることを知っていますか?

企業必見の助成金制度と、そのメリットについて解説します。

助成金があるって知ってた?

現在、日本での雇用の7割を中小企業・小規模事業者が占めています。

これらの企業が「働き方改革」をすすめていけるよう、国が補正予算をつくり、厚生労働省が窓口となり、助成金での支援をおこなっています。

助成金は、雇用を拡大・維持し、人材を有効活用する企業に向けてつくられており、要件を満たすとほぼ確実に助成を受けることができます。業務の効率化をはかりたい、仕組みを変えたい思いをもつ企業であれば積極的に使うことをおすすめします。

助成金の詳細

では、どのような助成金があるのかをみていきましょう。

・時間外労働等改善助成金
2018年4月から新設された助成金制度です。
時間外労働の上限を設定する、帰社から出社までにインターバルを設けて社員に休息をとってもらう、などの目標が定められた4つのコースから選んで企業内での制度を整え、社員の働き方を変えることで、助成金が支給されます。
支給対象となる事業主が決められており、対象となる場合は誰でも助成金の申請が可能です。

・業務改善助成金
仕事の生産性を上げるための設備投資を行ったうえで、最低賃金800円未満の社員の時給を30円~40円ほど引き上げた場合に、設備投資にかかった費用の一部を助成します。

業務改善助成金の表
参考:厚生労働省ホームページ

・キャリアアップ助成金
派遣社員やアルバイトを正社員にしたり、キャリアアップにつながる職業訓練を行ったり、給与の増額・社会保険加入のための週所定労働時間の延長をしたりと、非正規雇用労働者を企業内でキャリアアップする仕組みを整えることで助成金を申請できます。

このほかにも、定年引き上げや65歳以上の継続雇用延長を行う「65歳超雇用推進助成金」や、育児休暇や職場復帰の支援などにたいする「両立支援等助成金」など、さまざまな人が働きやすい企業づくりを応援する助成金はいくつもあります。詳しくは厚生労働省のホームページでも確認できます。

また、助成金は地方自治体からの支給もあります。
たとえば、東京都では「TOKYO働き方改革宣言企業」として、新たな制度を腐導入した企業にたいして奨励金や助成金を支給しています。
このなかでも「働き方改革助成金」は、働き方・休み方の改善を行うことで、最大40万円の助成金が支給されます。
どのような助成金があるかは、それぞれの地域で異なりますので会社があるエリアの自治体で確認しましょう。

企業へのメリット

助成金のメリットは、「支給要件を満たした企業に対して支給される」ことにあります。労働違反などをしていないかぎりは要件を満たすことでほぼ確実に助成を受けられるのです。
取り組みがいがあるのではないでしょうか。

このほか、下記のようなメリットも挙げられます。

・返済が不要
銀行融資と異なり、返済の義務がありません。財政面での負担を大きくすることなく、社内の働き方改革を進め、事業を拡大することができます。
・政府や自治体からも認められている
助成金は、事業計画と活動報告の審査を通して受け取ることができます。労働関係に違反がある場合は助成金支給のハードルはあがるため、助成金を受けられること自体が、企業にとってもひとつのアドバンテージになります。
・人材の定着が見込める
時間外労働の見直しやトライアル雇用などを行い、さまざまな事情によりフルタイムでの勤務が難しい人にとっても働きやすい仕組みを整えます。結果として、長く勤める社員も増えていきます。

興したばかりの会社や、少人数での会社であれば、現在の仕組みを整えることは思っているほど難しくはありません。
助成金の支給を希望する場合は、指定の用紙をそれぞれの都道府県の労働局に提出します。
労務管理のプロである社会保険労務士であれば、助成金の申請代行もできますので、周りの力も借りて前向きに挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

また、助成金を使ううえでの注意点も心に留めておきましょう。
助成を受けるためには、事業計画を制作、実行し、活動報告を行う必要があります。活動報告もふまえて審査が行われるため、助成金の申請から入金まで1年近くかかることもあります。また、助成額は全額支給されるわけではないことも覚えておきましょう。